キャッチボールの日

高校の卒業式の前日のことです。友人たちと思い出話に花を咲かせ、そろそろ帰ろうか、となりセンチメンタルな気分になっていると1人の友人が「もう少しだけ残れないか?」と聞いてきました。もちろん私はまだ学校にいたかったので了承し、他の友人とは解散しました。 誘ってきた友人は私をテニスコートに連れて行くと「キャッチボールをしよう」と言ってボールを取り出しました。女子校だったので野球部などはなく、この学校でキャッチボールをしているのは私たちくらいだよね、と笑いながらしばらくキャッチボールをしていると、その友人が私たちの思い出話や漠然とした不安のある未来について語り出しました。 お互いに「大学生になることはすごく楽しみだけど知らない世界へ行くのは不安も大きいよね。」と少し涙を流しながら語り合いました。「卒業しても絶対たくさん遊ぼうね!」と決まり文句のような言葉を話した私たちは、高校を卒業して10年以上経ちますが、お互いに結婚して子育てをしている今でも仲が良く、定期的に会っては未だにこの「キャッチボールの日」について思い出して語ります。